4. クリニカルクエスチョン(CQ)

CQ3
診療体制
dMMR 判定検査は技術及び結果の質が保証された環境の下で実施することを強く推奨する。

推奨度Strong recommendation [SR: 16, R: 0, ECO: 0, NR: 0]

検査の質保証の要件は施設認証、検査自体、検査従事者の水準・資格、職員に関する教育及びリスクマネジメントの観点から考える必要がある。検査施設は国際規格であるISO15189(臨床検査室—品質と能力に関する特定要求事項)や米国病理学会(College of American Pathologists;CAP)などによる外部認定を取得・維持することにより、検査精度の信頼性を確保することが望ましい。検査自体の質保証、検査従事者の質保証に関しては「OECD Guidelines for Quality Assurance in Molecular Genetic Testing」、「遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティスガイドライン解説版」等に準拠して行われるべきである。検体の取り扱いについては「ゲノム診療用病理組織検体取り扱い規定」を参照されたい。

dMMR 判定検査は、遺伝診療および遺伝カウンセリング体制が整った環境の下で実施することを強く推奨する。

推奨度Strong recommendation [SR: 16, R: 0, ECO: 0, NR: 0]

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応判定に用いるdMMR 判定検査は、従来リンチ症候群のスクリーニングや補助診断のために利用されてきた。よって、dMMR 判定検査を実施する際には、リンチ症候群のスクリーニングにもなり得る事を説明し、同意取得する必要がある(「日本家族性腫瘍学会診療資料」「大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス第3 版2016年11月(日本臨床腫瘍学会編)」参照)。がん診療の基本として初診時に家族歴等の評価が行われていると思われるが、結果としてdMMR であることが判明した場合は、再度家族歴の確認などによりリンチ症候群の可能性を再評価する。遺伝学的検査を考慮する場合も想定されることから、その結果の解釈やその後の健康管理、血縁者への遺伝などの専門的な面談や遺伝カウンセリングについて施設内もしくは連携施設において対応できる体制を整えなければならない。

多施設多職種専門家から構成されたExpert Panelによる全国共通遺伝子解析・診断システムの構築および研修プログラムの開発の一環とし、日本臨床腫瘍学会などの関連学会と協働し、下記のようなe-Learning サイトがあるため参照されたい。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫関連有害事象への充分な対応が可能な環境のもと投与することを強く推奨する。

推奨度Strong recommendation [SR: 16, R: 0, ECO: 0, NR: 0]

免疫チェックポイント阻害薬は、様々な免疫細胞において免疫を抑制する方向に働くco-inhibitory molecules をブロックすることで腫瘍免疫を活性化・持続させる薬剤である。殺細胞性抗がん剤や分子標的薬とは異なり、がん細胞自体に作用するのではなく、免疫細胞を活性化することで効果を示す。免疫細胞活性化によりirAE が出現することがあり、全身の管理が必要である。対応・処置が遅れることにより、致死的な状況になる可能性もあり、十分な対応が可能な環境で投与すべきである(それぞれの有害事象に対する対応は「がん免疫療法ガイドライン」、各がんの種類における対応は「最適使用推進ガイドライン」を含め参照)。

下記の条件を満たすことが推奨される(「最適使用推進ガイドライン」より抜粋)。

  1. 施設について
    厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院・特定機能病院・都道府県知事が指定するがん診療連携拠点病院等で、十分ながん薬物療法を含む治療経験のある医師がいること。
  2. 院内の医薬品情報管理の体制について
    医薬品情報管理に従事する専任者が配置され、製薬企業からの情報窓口、有効性・安全性等薬学的情報の管理及び医師等に対する情報提供、有害事象が発生した場合の報告業務、等が速やかに行われる体制が整っていること。
  3. 副作用への対応について
    重篤な副作用が発生した際に、24 時間診療体制のもと、発現した副作用に対し直ちに適切な診断と対応可能な体制が整っていること。irAE は多様であり、当該施設又は連携施設において各臓器・各病態に対する専門性を有する医師と連携できる体制が整っている必要がある。さらに、がん診療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者が副作用モニタリングを含めた苦痛のスクリーニングを行い主治医と情報を共有できるチーム医療体制が整備されていることが望ましい。