2.2 dMMR 固形がんの種類別頻度

dMMR 固形がんはさまざまな臓器に認められ、その頻度は、人種、がんの種類、病期、遺伝性か散発性かにより大きく異なる。MSI 検査またはIHC検査(検査法については「2.4 dMMR 判定検査法」参照)によるdMMR 固形がんの頻度は、対象集団や検査法の違いも含め報告によってバラツキが大きく、特にdMMR の頻度が低い固形がんでは実態が把握できていないのが現状である(別添文献参照)。

また、32 種類の固形がん、12,019 例を対象とした次世代シーケンス(NGS)法を用いた(検査法については「2.4 dMMR 判定検査法」参照)報告では、頻度が高かった11 のがん腫の合計で、MSI-H はStage I–IIIで約10%、Stage IV で約5%に認められている(図17)。また、50 種以上の固形がん、15,045 例を対象としたスローンケタリング記念がんセンター(MSKCC)での解析では、MSI-H/ MSI-Indeterminate(MSI-I)とリンチ症候群関連腫瘍の頻度が表2 のとおり報告されている 8)

図1. NGS 検査によるMSI-H 固形がんの種類別頻度 7)
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表2. がんの種類別MSI-H、リンチ症候群頻度 8)

がんの種類 N MSI-H/I*(頻度) MSI-H/I 症例中のリンチ症候群 (MSI-H/I での頻度、全体からの頻度)
総数 15,045 326(2.2%) 53(16.3%, 0.35%)
大腸がん 826 137(16.5%) 26(19.0%, 3.1%)
子宮内膜がん 525 119(22.7%) 7(5.9%, 1.3%)
小腸がん 57 17(29.8%) 2(11.8%, 3.5%)
胃がん 211 13(6.1%) 2(15.4%, 0.9%)
食道がん 205 16(7.8%) 0(0%, 0%)
尿路上皮がん 551 32(5.8%) 12(37.5%, 2.2%)
副腎がん 44 19(43.1%) 2(10.5%, 4.5%)
前立腺がん 1048 54(5.1%) 3(5.6%, 0.29%)
胚細胞腫瘍 368 33(9.0%) 1(3.0%, 0.27%)
軟部組織肉腫 785 45(5.7%) 2(44.4%, 0.25%)
膵がん 824 34(4.1%) 5(14.7%, 0.61%)
中皮腫 165 6(3.6%) 1(16.7%, 0.61%)
中枢神経腫瘍 923 30(3.3%) 1(3.3%, 0.11%)
卵巣がん 343 46(13.4%) 0(0%, 0%)
肺がん 1952 94(4.8%) 0(0%, 0%)
腎がん 458 11(2.4%) 0(0%, 0%)
乳がん 2371 150(6.3%) 0(0%, 0%)
悪生黒色腫 573 25(4.3%) 1(4.0%, 0.17%)
その他** 2816 144(5.1%) 0(0%, 0%)
*
MSI-I:MSI-Indeterminate
**
乳頭がん、肛門管がん、虫垂がん、骨肉腫、末梢神経鞘腫瘍、絨毛がん、子宮頸がん、神経内分泌腫瘍、神経芽腫、胸腺腫瘍、褐色細胞腫、膣がん、ウィルムス腫瘍、原発不明がん、頭頸部がん、肝細胞がん、胆管がん、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、網膜芽細胞腫を含む。